幼い頃から映画に魅了されてきた。
小説は全く読まなかった。
映画は長い。
長い映画を観られる私はイケてる。
と幼い頃、思っていたが
誰かの人生や物語を詰め込み、
視聴者に何らかの感慨を持たせるという作業が2時間というのは、
短すぎるくらいだ。
映画を何回かに分けて観る人はいないだろう。
映画は一気に観るものだ。
一気に観るために、短く作られている。
対して小説は、連続ドラマに近いと思う。
一挙に読み切る人も中には居るのかもしれないが、
読み慣れない私は、言葉ひとつひとつを意識的に頭に浸透させながら
読み進めるので、なかなか時間がかかる。
となると、5〜10回と機会を分けて見ることとなり、
以前読んだところを思い出すため少し遡ってから読みだしたりするのも
ドラマとそっくりだ。
小説の映画化はよくあるが、
小説のあの細かな表現の全てを施しながら、
2時間程度の映像にまとめるなんて、
そりゃ小説ファンが「原作の方がよかった」と言うのは当然である。
また小説は、それぞれの頭の中ですでに映像化されているので
自分の映像と違えば、そりゃ批判したくもなる。
小説を読んでいると
書き手がのびのびと書きたいことを書きたいだけ書いているように感じて
映画より自由だなと思う。
映画は尺が決まっているわけでは無いものの
一般ウケするためにも、約2時間で作成されているものが多いと思う。
つまり映画のすごいところは、潔くまとめる編集力だと思う。
短い時間の中で、必要なものを選択しつなぎ合わせ、
物語の根幹は、視聴者の心に深く刻む。
たった2時間で、一つの物語を堪能し感動できる、
優れた”エンターテインメント”
なのである。
気の短い私が、幼い頃から映画に魅了されてきたのは
その短さが理由だったのだ(たぶん)。
物語の好みはあれど
編集力に長けた映画は、どんな映画も面白い。
ちなみに、世界観がマッチする監督の作品であれば
ダラダラ長くても楽しめる。
私はクエンティン・タランティーノ監督作品が大好きだが、
彼の作品は、小説に近いシーンも多い。
ファンには心地よい時間(必要な尺)も、
好みでない人にはダラダラ描いているように見えたりもするかもしれない。
(イングロリアス・バスターズ / クエンティン・タランティーノ監督)
小説は、映画よりも断然長い時間を共に過ごさなければならないので
まさにその世界観がマッチするかどうかが重要で、
好きな作家というのは、映画以上に決まりやすいのかもしれない。
ちなみに私は伊坂幸太郎作品しか読んだことがない。
(伊坂幸太郎作品が好き。一番好きなのはオーデュボンの祈り。)
近しい世界観の、オススメの作家が居れば、どなたか教えて欲しい。
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